愛するということ④本当の愛を手に入れる

夫婦・恋愛

エーリッヒ・フロム『愛するということ』より

愛の習練

これまでは「愛の技術」の理論的側面についての説明でしたが、ここからはそれよりもはるかに難しい問題「愛の技術の習練」についてです。

本書の読者の多くは、「どうしたら愛することができるか」という処方箋を期待していますが、その期待が愛の習練をよけいに難しくしています。

愛することは個人的な経験であり、自分で経験する以外にそれを経験する方法はありません。

ここでできることは、愛の技術の前提条件と愛の技術へのアプローチの習練について論じることだけです。目標への階段は自分の足で登っていかなければなりません。

愛の技術の前提条件

愛するという技術に熟達したかったら、生活のあらゆる場面で規律と集中力と忍耐の習練を積まなければなりません。

規律

技術の習練には規律が必要で、規律正しくやらなければ、どんなことでも絶対に上達しない。趣味程度に「気分が乗っている時だけやる」のでは、絶対に愛の技術を習得できない。

ここでいう規律の問題には、毎日一定の時間練習するといったことだけでなく、生活全般における規律も含まれる。

現代人は仕事を離れるとほとんど自制心を持たず、だらだら怠けたい(聞こえのいい言葉を使えばリラックスしたい)と思っている。

集中

技術の習得にとって集中は必要条件。誰もが一度にたくさんのことをしている。本も読まず、ラジオも聴かず、おしゃべりもせず、酒も飲まずに、じっと座っていることができない。

一人でいられないのが集中の欠如を示している。逆説的だが、何もしなくても一人で居られる能力こそ、愛する能力の前提条件。

忍耐

性急に結果を求める人は絶対に技術を身に付けることはできない。とはいえ、現代人にとって、忍耐は、規律や集中力と同じくらい体得するのがむずかしい。

なぜなら現代の産業システム全体が、忍耐とは正反対の速さを求めており、人間の価値が経済的価値によって決定されるようになっているからだ。

現代人は何でもすばやくやらないと、時間を無駄にしているような気になる。

関心

技術の習練そのものに最高の関心を抱くことも、技術を身に付けるための必要条件の一つ。もしその技術が重要なものでないとしたら、絶対に身に付かないだろう。

せいぜい愛好家になれるくらいで、達人にはなれない。愛の技術においては、ほかの技術の場合よりも愛好家の比率が高いように思われる。

テニスができるようになるには練習が必要なのと同じで、愛にも練習が必要です。しかもスクールはないので、自習しなければなりません。

さらに、愛を学ぶためには、愛することができるようになりたいという意欲が必要です。

(三島コメント)②の集中は禅に通じるものを感じます。「いま」とひとつになる体験です。

愛するのに必要なこと

人を愛するのに必要なことは信じること=信念を持つこと。重要なのは、自分自身の愛に対する信念である。

つまり、自分の愛は信頼に値するものであり、他人の中に愛を生むことができると「信じる」ことである。

次に必要なのは勇気。勇気とは、あえて危険をおかす能力であり、苦痛や失望をも受け入れる覚悟である。

安全と安定こそが人生の第一条件だという人は、信念を持つことはできない。

愛されるには、そして愛するには、勇気が必要だ。

ある価値を、これがいちばん大事なものだと判断し、思い切ってジャンプし、その価値にすべてを賭ける勇気である。

信念と勇気の習練の第一歩は、自分がいつどんなところで信念を失うか、どんなときにずるく立ち回るかを調べ、それをどんな口実によって正当化しているかを詳しく調べることだ。

それにより、人は意識のうえでは愛されないことを恐れているが、本当は、無意識の中で、愛することを恐れている、ということが分かるだろう。

愛するということは、何の保証もないのにこちらが愛すれば、きっと相手の心に愛が生まれるだろうという希望に自分をゆだねること。信念と勇気が必要。

自分の知らない「無意識の自分」もいて、自分で自分に嘘をつくこともよくあります。

自分が誰かを愛しているこの愛は本物だと自分では信じていても、心の底では信じていないかもしれません。無意識的に気づいていても、意識的に気づいていないこともけっこうあります。

まず嘘がないこと。自分に正直になることが信念です。

自分の愛を信じ続けるためには、努力を続けることが必要で、小さい子供が信念を持ち続けることが難しいように、人間的に成熟しないと信念は持てません。

ある意味では、一人で出来るぶん「悟りの境地」に達するほうが、むしろ優しいのではないでしょうか。愛は相手がいるから、相手から否定される可能性があり、だから勇気が必要です。

通じないんじゃないか、ひどい目に遭うんじゃないかと恐れています。傷つけられたくない、傷つくくらいなら愛さないほうがいいと思うと、どうしても最初の一歩が出なくなります。

愛と傷つくことは表裏一体なのです。

愛は学ばないとできないものであり、誰もができるものではありません。「愛とは与えること」だと理解できているかで、一歩踏み出せるかが決まります。

愛とは、上手くいかない経験を通して深めていくものです。

自立コーチ三島

 
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■毒親相談.com主宰 三島恵実
(うつ病・毒親サバイバー)
 
野村證券在籍中に20代でうつ病を発症。
 
自殺未遂を繰り返したのち、セラピーに通い、うつ病と毒親(父が発達障害・母が自己愛性人格障害)の問題を克服。
 
2014年「これでよかった。十分だ」という内なる声と共に、圧倒的な至福感が湧き上がる体験をする。
 
その際、「両親が成長と目覚めの協力者」という「人生のしくみ」に気づく。
 
現在、「意識の成長と目覚め」を目的として、苦しみを心の解放につなげる自立コーチングを提供中。
 
オールドソウル(輪廻転生を卒業するたましい)

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